実家の遺産相続に関するレビューです。運用とは直接関係はありませんが、築いた資産をどう使うのかは立派な出口戦略です。
残された家族が気を付けたいこと、親世代へのお願いをまとめました。これから同じような経験をされる方の参考になればと思います。
残された家族の間に微妙な亀裂が入る
2021年秋に父が亡くなりました。子育ても終わり仕事はそこそこにやりたいことを楽しんでいた父でしたが、体調を崩してからはあっという間でした。
慌ただしく葬儀に追われつつも四十九日の法要まで終えることが出来ました。残った家族が集まり父の銀行や証券会社、仕事関係の支払いや売上代金の回収を確認していきました。
薄々わかっていましたが資産の金額どころか取引金融機関名すら見つかりません。残された家族の頭に浮かんだのが、このままだと相続出来ない…という絶望でした。
それでも相続手続きは行わないといけないので、残された家族で手続きを進めることになりました。週末に実家に帰り銀行や証券会社の郵便物を探す。そんな生活を続け取引金融機関の全容が掴めました。
父は10件以上の口座を持っていました。どういった経緯でこれだけの口座を持つようになったのか分かりませんが、書斎や寝室、リビング、仕事場と家中の書類の山を探し回したので母からするといい気はしなかったと思います。
なかなか進まない焦りと徒労感で家族の間にも不協和音が生じてしまいました。
相続の時間的制約 亡くなってから10か月が勝負。実はそれまでもスケジュールに追われる状況
相続税の納付期限は亡くなってから10か月以内と決まっています。そこまでに相続財産の調査、相続意向の確認、相続税の算定、遺産分割協議、相続税納税。やるべきことが多く、一つ一つの手続きが重い。
もし財産が相続税の非課税枠を超えていたら延滞税が生じるなど問題になってしまいます。相続財産は早く確定しないといけないのですが、年金関係の手続きや確定申告、仕事関係の整理もあり10か月ほぼ実家の片づけに追われてしまいました。
親世代にお願いしたいこと
今回の経験を踏まえて親世代の方にお願いしておきたいことを整理しました。どれも元気なうちに準備しておく内容ばかりですが、体調を崩してからだとそこまで体力気力が回らないと思います。
考えがあるならきちんと残す
持っている資産をどう処分したいのか考えがあるなら伝えてほしい。遺言書はまさにその役割を担うものです。遺言書を探すため、書斎や仕事場を探しましたが見つかりませんでした。
遺言書が後から見つかった場合財産分与をやり直す必要があるし父の意向通り資産処分が出来ているのかも分からず仕舞いです。
ご自身の資産なのでどのように使ってほしいかは何らかの形で残してほしいと思いました。
リスト化しておく
相続税の納付期限は10か月と決まっているので相続財産は早く確定させないといけません。10カ月はあっという間に過ぎてしまいます。金額は分からなくてもせめて取引銀行や証券会社の口座をリスト化しておくだけでも残った家族の負担感が違ってきます。
元気なうちから整理して金庫に保管しておいて欲しいと感じました。
家族でお金の会話をしておく
正月、お盆、顔を合わすタイミングで家族間でお金の話はしておきたいところ。家族とはいえ、お金の話を他人にするのはハードルを感じるかも知れませんが、普段から自分の資産をどう使ってほしい。とか、資産の状況とか、家族で会話していれば、例え遺言書がなくても意向に沿った合意や金融機関の把握がしやすいと感じました。
子ども世代として考えるべきこと
事前の準備は親世代にお願いする一方で、相続が発生したあと子ども世代が気を付けるべき3点です。実家から離れた場所にお住まいの場合だとコミュニケーション含めて気を付けたいですね。
父が亡くなると葬儀や役所への手続きで忙しく相続に頭が回らなかったのが実際です。残った家族でもう少し出来ることはあったかなと反省しています。
相続を争続としない
残った家族間で父の資産は全て母親が相続することに合意し遺産分割協議書を作成しました。そもそも遺言書が見つからない段階で父の相続資産は母が全額相続する雰囲気があったのですが無事に調印出来てよかったです。遺言書がないと相続で揉めることもありこの点は良かったかなと思っています。
自分でやる気持ちで
相続手続きの他にも役所関係の申請や確定申告など行う必要があります。申請は母が行いましたが、手続き方法や申請書類の書き方など遠方にいても出来る作業は代わりに行いました。期限内に手続きを終わらせるため出来ることは進めなければなりません。母に全て任せることは精神的にも時間的にも難しいので、母に代わって出来る人が出来ることをやろうとなり進んで作業するようにしました。
役割分担で自分の家族の時間も大切に
率先して口座の整理や資産台帳の作成など引き受けましたが、休日作業も多く妻や子どもとの時間が減り家族にしわ寄せが出てしまいました。率先して作業を引き受けることは大事だけど自分の家族とのバランスも大事だなと感じた次第です。もっと処理能力があればよかったのですがこれは誤算でした。
まとめ
老後に入ると目の前の生活に関心が集中していて相続まで頭が回らないと思いますが、市販の遺言書セットを利用するだけでも違う気がします。銀行や証券口座のリストを作ってあれば、スムーズに手続き出来るのでぜひ親世代の方にはお願いしたいところです。
ただ、父は銀行預金と株式、保険がメインで不動産は自宅くらいしか持っていないのは幸いでした。不動産の比率が高い人は注意が必要です。相続税は現金で納めなければいけないので、別に現金を準備するか不動産を売却するしかありません。
税理士など専門の方に相続を頼む選択もありかも知れません。税理士も得意不得意があり料金設定も幅が広く希望通りの結果になるとは限りません。ネットなどを使ってよく調べた方がいいでしょう。
相続を経験することは限られていますが、自分の感想としては出来れば二度とやりたくない手続きと感じる作業でした。税制含めて手続きがもっとシンプルであればいいんですけどね。
本日もお読み頂きありがとうございました。
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