「貯蓄に回すお金がない」という調査結果から見えるもの

2022年6月4、5日の土・日にJNNが投資に関する世論調査を行ったそうです。具体的な調査名は記載ありませんが、投資に関する意識調査といったところでしょうか。

回答の一つに「投資に回す貯蓄がない」というワードがあったようで結構な票を集めたそうです。どちらかと言えば投資に対して否定的なニュアンスですし、調査結果を基にしたTBSの記事内容も国民のお金を投資に回すには時期尚早というトーンになっています。

数年前まではきりもんも投資に対して否定的でしたが、将来やインフレなどを考えて投資肯定派となりました。記事を読んで感じた雑感をまとめておきます。

政府は経済政策として投資環境の改革を掲げています。個人の金融資産を「貯蓄から投資」にシフトさせる方針だそうですが、世論調査で「今後、貯蓄を投資に回そうと考えるか」という質問に対して、34%が「投資に回す貯蓄がない」という回答だったそうです。

また、記事によると投資に否定的な回答割合は74%に上り、概ね4人に3人が投資に否定的という結果だったようです。

この調査結果を踏まえて記事では、政府が「資産所得倍増プラン」を実現するには、投資環境の整備や投資に関する教育の拡充、投資資金となる給与水準の向上が必要だ、と締めくくられています。

今年に入り投資環境は決していい訳ではないので、そのあたりも影響しているのかも知れません。以下、ヤフーニュースを引用したいと思います。

政府は経済政策として投資環境を改革し、個人の金融資産を「貯蓄から投資」にシフトさせる実行計画案をまとめましたが、「投資に回す貯蓄がない」という人が34%であることがこの土日に行ったJNNの世論調査で分かりました。 世論調査で「今後、貯蓄を投資に回そうと考えるか」聞いたところ、
●投資に回そうと思う23%
●投資に回そうと思わない40%
●投資に回す貯蓄がない34%
という結果となりました。 岸田総理は個人の金融資産を貯蓄から投資にシフトさせる「資産所得倍増プラン」を掲げていますが、世論調査では「貯蓄から投資」へ資産を回そうと考えている人が23%と、およそ4人に1人という結果となり政府には「投資を促す環境整備」や「金融リテラシー教育」の推進、また、投資するための原資となる給与水準の向上への取り組みなど課題が突きつけられた形です。

ヤフーニュース、6/5(日) 23:41配信 TBSテレビより

初心者ながら投資をしているきりもんの私見ではありますが・・『ゆでガエル理論』という経営やビジネスシーンで使われるたとえ話があります。自分の置かれた状況が変化(悪化)していく中、「変化に気づかず致命傷を負う」という意味合いで使われます。

ゆっくりと進む環境変化や危機に対応する難しさや大切さを説く言葉として使用されますが、ゆでカエル理論という言葉が喚起するのは、環境変化や危機が進行していることに、実は本人も“気付いている”ことが多いという点です。

気付づいていながら、そのうちに何とかなると楽観しているうちに重大な事態に陥るのです。裏を返せば、環境変化や危機に気付き、ゆで釜(現在の置かれた状況)から移るインセンティブがあれば、自ら一歩を踏み出すことが出来るということでしょう。

ここでいう環境変化とは、社会保険料や増税などで手取り収入の減少(CFの低下)、インフレで貯金の目減り(資産の減価)と考えることが出来ます。

労働による手取り収入が減少する一方で、企業は資本政策の観点から配当による株主への還元は増やしています。見方を変えると株主ファーストが強まっていると考えれます。この流れを利用することで、労働所得の減少を資本所得の増加でカバーさせていく必要かあるかと思います。

その流れを後押しするような仕組みがこれから必要となるでしょう。

別ソースですが、金融広報中央委員会の「知るぽると」が行った2022年2月の「家計の金融行動に関する世論調査」では、2021年における金融資産(※)を保有する二人以上世帯は78.0%。保有平均額は1,563万円、中央値は450万円という調査結果でした。

5年前の2016年に比べて+485万円。中央値も+50万円と増加しています。

金融商品を保有する世帯において商品選択時に重視するものは、収益性と答えた世帯が35%となり初めて3割を突破しました。元本割れリスクのある商品への投資も50%を超える内容です(こちらも初めて)。

調査のタイミングが2021年9月なので、株高効果による資産増加と投資心理の変化が見て取れます。ちなみに、調査の中でも資産が増加した理由を問う設問があり評価額の増加が34.1%で回答のトップだったようです。

この調査と冒頭の調査結果を踏まえると、投資する人間はこれからも投資していくだろうし、投資をしない人間は投資をしない二極化が見えてきます。

個人的には二極化が深まる世の中よりも、極力そうではない世の中の方が幸せだと思っています(持つ人と持たない人の二分化は階級、階層化を深める)。そのためには個人単位で余剰資金が生じるような景気対策と投資による所得税の引き下げを検討するなど、投資しやすい環境の整備を行うべきでしょう。

投資に対してネガティブな層において投資に目を向ける一定数を掘り起こしていための、もう一段の深掘りした施策に期待したいところです。

資本主義の富の不均衡は放置しておいても解決できずに格差は広がることが分かっています。トマ・ピケティの提唱したR(資本収益率)>G(経済成長率)。「21世紀の資本論」です。

資産 (資本) や運用により得られる富は、労働によって得られる富よりも成長が早い。格差解消のためには、高所得者への課税軽減ではなくて、投資にネガティブな層を減らさないと格差は一層拡大すると言われています。さもすれば、政府の掲げる「資産所得倍増」施策はもう少し評価されてもよいのかも知れません。

「資産所得倍増」により、10年以内に使用予定のない長期の余裕資金をリスク資産への投資に振り向かせ、積立投資によるドルコストと、長期投資による複利効果での資産形成を図るべく、長期投資に関する周知が重要になってくるかと思います。

インセンティブ(税率優遇、損益通算)を設けることで期待値を上げて投資する国民を拡大させていく。結果として、金融所得倍増により国民所得を向上させる。投資について周知活動を行い長期投資による資産形成を促していく。この両輪で資産所得倍増計画が進んでいくことを希望しています。

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サイト来訪ありがとうございます。
きりもんさんです。東京で家族3人仲良く暮らすパパです。
最近、53歳でセミリタイヤを行うべく貯金生活を始めてみました。
貯金リテラシー低かったこともあり、試行錯誤、四苦八苦しながらですが、
コツコツと歩みを進めていきたいと思ってみます。

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